JEFF BECK 2001 EUROPE TOUR REPORT

KOLN
Live Music Hall
2001.07.12

「ケルンはハプニングつづき」

ケルンはベルリンから3時間半くらい。駅を出ると目の前に有名なケルンの大聖堂。ちょっと虚を突かれるほど巨大な威容だ。ケルンは見本市でも有名らしく、たまたまその開催時期と重なってしまって、ホテル代がなんと普段の3倍!しかも着いたホテルは外壁が工事中。中も廊下の天上にガスの配線がむき出しになっていたし、部屋もエアコンが不調なのだった。これであの朝ご飯が美味しくて、キレイ快適なHiltonより高いだなんて、Chiexと二人で憮然とする。
二人とも、毎日連続の移動に毎晩の大あばれ(私だけ?)でやや疲れていたので(でも、風邪は順調に回復してた。)タクシーで会場入りした。すでに地元のファンが集まっていたが、並んでいるというよりも、JEFFの会場入りを待ってるらしい。いままでよりもワイルドな雰囲気の人たち(ややヘビメタっぽいのよ)。
JEFFはこの日メンバーと一緒にワゴン車で到着。ところが車の窓をドンドンたたくな ど不作法な女性ファンもいてJEFFもさすがにムッとしていた。Berlinでも早くから来ていて、JEFFフラッグを一緒に持ってくれたドイツ人男性がケルン在住だったらしく、この日は一番乗りで、「クレージーフィンガーズ」の初版にJEFFからサインをもらって、嬉しそうだった。

会場は音楽ホールというより、なにかの工場跡をライブハウスにしているみたいだ。7:30頃イギリス在住の今野さんが優しそうな奥方と到着。Shepherds Bushでのいきさつから、BBSではお話していたが面識はなかったのに、JEFF BECKファンの磁力なのか、すぐに「どうでした?」「ハンブルクとベルリンが凄かったぁ〜!」という話になる。なぜか、マネージャとランディが何度も会場を出入りしていて、具合でも悪いのかしら、と心配になった。「Hi! Randy」と声をかけると「Hi! 」と笑顔だったから大丈夫なのかな?。中に入ると予想より天井が低い会場でしかも、ステージは高め。音の分離が悪そうだ。床の状態も良くない。はっきり言って掃除してないな? 4日目で疲れてきてるのは私たちだけじゃなくて、前座のマーク達もやや精彩を欠いている。それでも連続4日間前で見ているから彼らの曲も覚えてしまった。ブルーススピリットに溢れたいいバンドなのだ。 それにしても、ケルンは最初からハプニング続きだった。

そろそろJEFFのshow始まると思った頃、ベルリンから一緒に最前列だったあの男性がいきなり倒れてしまった!どうやらマリワナがどこかから廻ってきたらしく、彼は多分それほど慣れてないのに、思いきり吸い込んでしまったようだ。大変気分が悪そうだったが、セキュリティーに促されても動こうとしない。だって、何時間もJEFFの為に並んで待っていんだもの…。それでもさすがに観念してステージ脇に休みに行った。
私たちの目の前には三角の狭いスペースが切ってあり、そこがカメラマンのブースらしい。 狭いスペースにぎゅうぎゅうにカメラマンが入ってくる…JEFFももうすぐ…ッと思っていたら 今度は私の横に居たChiexから悲鳴が!なんと、さっきの彼が倒れた拍子にマリワナの火が飛び火したらしく、化繊混じりの彼女のジーンズの足元でチリチリ火の輪が広がっているではないか!必死で叩いて消そうとしたが、化繊なのでじわじわ火が広がってしまう。完全に消すために何度も手でもみ消す。やっとこれで大丈夫、と思って顔を上げた時にはWhere were Youが始まってかなり経っていた。
最前列で騒ぎが起こっていたのをJEFFは気がついただろうか。私たちの前にはカメラマンがギュッといたから演奏に影響はなかったと思うけど。

この日のJEFFはさすがにやや疲れ気味なのか、ややラフな感じ。 Brushのあと曲順を間違えて6弦を下げてしまい、( Blast from the East とDirty Mindを間違えた模様)ランディと顔を見合わせて、苦笑しながら戻したけど、戻りきってないよ!。それでも弾き通してしまう、という荒技をやっていた。他も私には1曲1曲をなんとかこなしていってる風に思えたけれど、それは前2日のあまりにもスゴイJEFFを見ているせいで、調子が悪いということではもちろんなかった。
ケルンの観客は熱狂していた。この日も一瞬「お腹あおぎ」をしてあげた。Chiexは私の持ってきていたタオルを投げて汗と拭いた後、投げ返してもらうつもりだったのに、JEFFはそのまま持って帰ってしまったよ(!)ロックスターはふつー、投げ返してくれるよねー?(笑)
最後に残ったギターバージョン団扇を今野さんにプレゼント。

「こんなところまで来ちゃったよ…」

終演後、パスを出してくれたので昨日に引き続き、JEFFに会えるはずなのだが、私達以外にそれらしいファンがいなくて、誰も誘導してくれそうにない。困っているとRandyがワインボトルを片手に出てきた。少し話をする。「君も飲む?」え?う、うれしーが、今はダメ〜。それに、こう見えて私はアルコールが全く体質に合わないのだ。Randyつまらなそう…。ご、ごめん〜〜。それでも、パスのことを聞くと「俺の持ってるのとは違うけど…」と言いながら「こっちだよ」と自分で案内してくれようとする。ええ〜〜っ!全員で驚いていると、[いいからついておいで]というジェスチャー。Randy〜〜!なんていい人なんだろう。 あまりの展開にアタマの中が真っ白になってくる。

着いた先は、かなり広い目の部屋でソファでアンディがくつろいで座っていた。人の出入りも多い。こ、これは… いままでのミーツ&グリート用の廊下とかじゃなく…正真正銘の、アフターショウルーム!アタマが痺れてきた。Chiex、まぁさんは大興奮で「I got it !!!」とガッツポーズ。アンディがこちらを見てニコニコしている。ジェニファーが飲みものを手に現れたので4日間のお礼と、でも明後日には帰らなきゃ、凄く悲しい、仕事に戻らなきゃならない。と言うと「Work〜〜!」仕事なんて嫌ね!と同意してくれた。
JEFFも飲み物を片手にフンフンと鼻歌まじりに入ってきて、私達の横を知らんぷりするようにすり抜けていく。イタリア人のマネージャが「お前達はそこで静かにしてろよ。」と制止のジェスチャー。 う〜ん、ガキンチョのミーハーだと思っているな。 アメリカから来ているファンとJEFFは話し込んでいた。ミュージシャンなのかギター奏法について細かく質問するのを、にこやかに答えている。
それにしても、大勢のファンに何度も同じような質問もされるだろうに、JEFFが迷惑そうにしたり、面倒そうな素振りとしているのを見たことがない。きっとその日のshowの出来不出来で、ファンに会う時の気分も違うと思うけれど、私が目にしたJEFF BECKはいつもファンにはフレンドリーで誠実に接してくれていたよ。私は昨日面と向かって「You crazy」と言われて乙女心が(まだ少し残ってたらしく)ちょっと傷ついていたのと、昨日は殆ど私一人で数分間JEFFを独占してたので、なんとなく見てるだけモードに(や、それだけでも幸せなんですけど。)なっていた。でも話終えてぼーっとしているJEFFにツーショット写真をそれぞれお願いした。 CHiexはとても高くて可愛い声の持ち主なのだが、JEFFはその高い声を「Sounds like toy」と面白がって口マネしていたらしい。(NYでも日本語の口マネしてたしねー。) まぁさんは日本のコミックをプレゼント。「僕に?でもこれ読めないよ?」「ノー、ノー、これは英語なの。」プレゼントを貰って行こうとするJEFF。まぁさんたらそのJEFFの腕を引っ張って、「あっ!ジェフ!行っちゃダメぇ!写真を撮ってくれなきゃぁ〜」←これ、全て日本語だよ(爆)。それでもJEFFは素直に立ち止まって写真に収まってくれました。 会場から出るとき、ギターテクやプロダクトクルーにお礼とお別れを言った。Chiexが「日本に戻ってね!」「約束するよ!」クルーの一人が強く言ってくれた。 ワゴンの中にいるメンバー、特にランディにお礼を言おうと「Randy! Thank you so mauch!!」と大きい声で言ってると後ろから「ウィ〜、ウィ〜」っていう変な声…(車のサイレンのつもり?)JEFF的には「どいたどいた!」って意味でしょうね(笑)。車の中は暗くてよくは見えなかったけれど、発車してもNYでもそうだったように、JEFFは身を乗り出すようにして長いことバイバイって手を振ってくれていた。 あんな偉大な人なのに、JEFFは万事こんな感じなのですよ。私達はやや遊ばれていたとも言えますけど…。
車のライトが私達を照らしていたので、さようならのつもりで、ついダンスのステップを…。 なんだかこの4日間への感謝の気持ちと今度はいつ会えるんだろう?という堪らない寂しさが一気に襲ってきてプッツンしたらしく…しまった!これって正真正銘のCrazy、あんどStupid、Childishな振る舞いそのものじゃないか!(わはは!)あ〜、もぉ〜!

「フィナーレはNo.1068タクシー?!」

CHiex、まぁさん、Yさん、タバコ君、私。全員ナチュラルハイ状態で夜更けの街を歩いた。 帰りのタクシーはベンツのコンパートメント。中に入ると「Hi! May I take some photo?」その運転手さんはフォトグラファーでお客を被写体にする、という作品を撮り続けているのだった。タクシーナンバー1068。写真集もすごく面白い。「すごーい!」「私達も撮っていい?」持っているカメラで全員がタクシーの中でストロボをバシャバシャ焚きはじめてしまった!「わぉ!面白い!こんなことは初めてだ!」運転手さんも大喜び。きっと外から見たらタクシーがいきなりイルミネーション化して異様な光景だったと思うよ。 「JEFF BECKのConcertでドイツまで来たんだよ、ほら!」っと団扇はもうないので、FLAGを見せる。 「わーお!グレイト!それと一緒に撮っていい?日本人面白い!」かくして後部座席3人はJEFFフラッグと一緒に写真に収まり、「次の本には載せるよ!」と約束してくれたのだった。 なんだか全てが夢の中の出来事か、映画のシーンみたいだった。 こんなご機嫌なエピローグが用意されていたなんて、やっぱり、私達にはラッキーな星がついていてくれていたのだ。ケルンに行くことがあったら、No.1068のタクシーを探してみて。きっといい旅になるよ!

追記

コンサート以外の記述が大半を占めていてゴメンナサイ。団扇おっかけ隊報告なのでコンサート評になってないのが辛いトコです。 それと、ここまで書いてもいいのかな?と自問自答しながら書いてました。でもメンバーをはじめ、JEFFの廻りにいて、JEFFを支えている人達のことも伝えたかったんです。夜中まで続く撤収や夜を徹して走り続けるツァバス。仕事とはいえ、あのキツイ日程を消化しながら、彼らは本当に親切に接してくれました。彼らにとっては普通だったのかもしれませんが、日本では考えられないことでした。感謝しきれません。
そして私達の大好きなJEFF BECK様。ただ、ただ、あなたと同時代に生きている幸せを神様に感謝しています。 それに、もぉ、大好きなんだから、仕方ないや。ねぇ?今はそんな気持ち。(意味不明だなぁ〜) 珍道中の片割れで最初のうち半病人だった私を元気づけ、しばしば茫然自失中の私を正気に戻してくれたChiex、アリガトね。まぁさん、Yさん、タバコ君、うふふ、楽しかったね。今野さん、別の場所で団扇を活躍させて下さってありがとー。 そして、不十分な文章をここまでつきあってくれた皆さま有難う。

by atsu.


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