JEFF BECK 2001 EUROPE TOUR REPORT

Berlin
Columbia Hall
2001.07.11

追っかけの勘が外れまくり、あああ〜。

ベルリンはハンブルクから2時間半くらいなので余裕で出掛けたらアルトナ駅で特急予約ができなくて、ハンブルク中央駅へ。1時間のロスをする。でもそのおかげでUSツァーの時からお見かけしていたYさんと同じ車両になった。USの時はストイックで近づきがたい印象だったのだが、思い切って話しかけてみると、拍子抜けするくらい気さくな感じ…。そのYさんから昨晩のハンブルクのこと…JEFFが急きょ会場に残っていた人全員とミート&グリートをしてくれて、しかも、丁寧に3人づつ、夜中の1時過ぎまで会ってくれた…と言う話を聞かされた。JEFFもそれほどあの日のオーディエンスと立ち去りがたかったのかもしれない。それほど会場中が一体となった、夢のようなShowだった。昨晩だったらきっと大喜びで会ってくれたろうに…一生の不覚ってこのことかも…。マジでその場で倒れそうだったよ。打ちしおれて、今回の旅行中もっともよいホテルBerlin Hiltonにチェックイン。

ツァーの追っかけの時は、心身ともに疲労することもあるので必ず一ヶ所は良いホテルをとることにしている。今回もそうしていてよかった。なかなか落ち込みから立ち直れない私の横で、Chiexはキビキビと次のライブに向けてアタマを切り替えているようだ。う〜む、元気いっぱいなツレがいて本当に助かる。
4:00少し前に会場に到着。雲行きが怪しい。じき雨が降ってくる。Hall内に運び込むアルコールや飲み物を積んであるテントで雨宿り。この会場の人達が咎めたり追い出さないのを良いことに、まったりと過ごさせてもらう。
YさんはJEFFに毎日手紙を書いているようだ。話してみるとYさんは、インテリジェンスと爆裂ユーモアの持ち主で、彼女の手紙だったらきっと楽しくて、JEFFも楽しみにしているのではないかな。 1時間程で雨も上がって6時過ぎにメンバーの車到着。なんと、向こうから手を振ってくれている。ランディに昨日はお誕生日おめでとう、と言って握手。JEFFはまた後からくるみたいだ。ドア前に座り雑談をしつつ待っているとChiexが「あれ、今の車…」赤いファミリアみたいなふつーの乗用車が車線変更しつつ通り過ぎ、中の人が手を振っていたらしい。そのシルエットが…確認にいくと、果たしてその乗用車が機材車の横に停っている。やはり、JEFFだった!。JEFFみずから手を振ってくれてたのに、遠征隊またしても、見逃す!!昨日からの失態続きに、もはや唖然!流れが外れっぱなしだ。あう。

大都市はNYに続き、ぶぁっちりだ!

7時近くになって次第に人が集まってくる。ドアオープンは8:00なのだが、ベルリンの人は誰も並ぼうとしない。100人くらいが何となくドア前にたむろしている。早くから来ている人に「みんな並ばないのでびっくりしている」と言うと「でも、彼がドア前を守っているよ。」なるほど、一番に来たスーパーマリオキャラのオジサンがうなずいている。この雑然とした感じの割に、混乱や、人が押し寄せることもなく、楽に最前列を確保する。
この古い飛行場跡近くの会場は、今回唯一のコンサート用に作られたHallで2階もシート席がありキャパは多分1500人程度。この日は2階は人をいれていない。ざっと見渡して1000人程度のオーディエンスだ。
大都市Berlinだけあって、いろんな階層の人達。圧倒的に男性が多いとはいえ、若いコたちも結構見かける。モデルみたいにキレイな女の子も最前列近くにいて、JEFFがよろこびそう(笑)。
前座のマーク達も気合いが入っていて、よいレスポンスを得ている。 10時過ぎ、JEFF登場。 この日のJEFFは本当に素晴らしかった。最初Where were you が少し不安定だったが、その後の圧倒的な存在感はまさにGuitar God!! だ。インスピレーションの神が降りてきているかのように思うままに音を紡ぎだしていく。手数も多く、恐ろしいくらいの集中力だった。Jennifer がJEFFの素晴らしいリフやインプロヴァイズに、感に堪えたような表情…。Jenniferも感動しているのだ。そして、Blast from the Eastや特にNadiaでJEFFとユニゾンで弾いているときの幸福そうな美しい表情!見ているこちらも胸が熱くなる。
この日のギグがGermanyのハイライトだろう。 昨日のギターキッズみたいな躍動感溢れるライブの次の日に、これほどのプレイを展開してしまう…。これだから、どんなギグも見逃せない気持ちにさせられるのだ。 思うに、ボジオやスタンリークラークとのライブで、彼らにインスパイアされつつ、バトルを繰り広げていった時代と違って、今のJEFFはバンド全体を引っ張っていき、全てをコントロールし、音を切り開いていかなければならない。ドラムソロで休むわけにいかないしね。いつもその時々の自分の全てを惜しげもなく出し切ってしまうプレイスタイルに、セットリストが短くなっても、このツァ日程では仕方あるまい、と思う。

ところでJEFFは時折タッピングの何弦かの音がすっぽ抜けるのか、何度かアンプを触りに行き、ガン!っと拳で殴っている。殴っても治らないよー。ギターテクが舞台の袖で、まるでテニスのボールボーイのように膝を立てていつも待機、何かあったらすぐに飛んでくる。それにしても、近くで見ているとJEFFの左手の指の関節の柔らかいこと!ギターを弾かない私でさえ、ふぇ〜っという位置と角度で指板を押さえているのがわかる。 後半に行くほどプレイが冴えていく今日のLed Bootsはバッチリだった。
Good Bye Pork Pie Hat〜What mama said.のヴァリエーションも… こんなに調子のいいJEFFをもっと聞いていたいけれど、アンコールはやはりこの日も1曲のみ。 アンコールの時廻りのドイツ人にもJEFFフラッグ(これも持っていってたのよ。)を持ってもらった。 オヤジ達が嬉しそうに持ってくれるので、なんだか嬉しくなる。JEFFが指さして笑っている。 今日の公演はとても充実していた。JEFF本人も満足そうだった。

なにゅ??今、何とおっしゃいました??

終演後、昨日とは違ってセキュリティーがすぐに客を出そうとしている。でも6人くらいのティーンエイジの男の子達が舞台袖近くにいて、彼らを追い立てようとはしないので、少人数ながらファンに会う時間を作っていると確信した。しばらく粘ってみる。ガードマンは手荒なことはしないが、「Ladies,you should go out,please」と何度も言う。そのうち、恰幅のいいガードウーマンが登場。声高に出るように背中を押してくる。いろいろ言ってみるが「私英語分かりません」という態度でぐいぐい押すので、もはやこれまで、と思ったら、クルーの一人が気づいて飛んできてくれた。USツァーからの顔なじみになっていたので、私達が昨日JEFFに会えず落胆していたことを知っていて、可哀想に思っていてくれたようだ。少しだけなら会えるから、と案内してくれた。この人は私達をほんの子供と思っているに違いなく、いつも早くから並んでいると甘いものすき?とチョコレートをくれたりしたのだ。(わははどーしよー?。)

楽屋裏に行くとJEFFは帰り支度して先ほどの地元の若いファン3人と話をしていた。彼らもミュージシャンらしく、ギターにサインを貰っていた。入っていくとJEFFは気づいてニッと笑っている。JEFFは彼らに自分の左手を見せて説明している。今日のギグで酷使した左手は指が引きつり、真っ白で血が通ってないみたいだった。 80分の間弾きまくり、あの強烈なチョーキングを続けた結果なのだ。一瞬胸を打たれる。と話が終わったらしく、いきなりJEFFが私に向かって「You crazy !」…がぁ〜ん!ク、クレージーって…そりゃそうなんだけど、いきなりそんなこと言わなくたって…続いて「She's following me anywhere....」とかドイツの若いコに説明してる。男の子達は目を丸くして、「where you from?」「how many times did you go...」などと質問してくる。ひぇえ、私に質問しないで!私はJEFFと話がしたいんだからぁ!でも無視できないので「I'm from Japan. I'm attending four concerts in Germany.」 とか説明しているとJEFFが話に割ってきてうちわのことを褒めてくれる。「Very Good idea and usefull ! 」う、うれしー!。でもその次の言葉に目が点になる「who made?」……瞬間脳がぐんにゃりしたかと思った。ニュルンベルクで渡した時、分かってなかったか、はたまた3歩歩いて忘れたか…!!絶句して力なく自分を指さしていたけど、JEFFは「??」という表情。 もう、どう言っていいか分からなくなり、つい冗談のつもりで「Why don't you recommend me as your designer?」とタメ口をたたいてしまう。JEFFはキョトンとしている。ししししまったぁ!ものすごい失礼な言い方!いや、ダメ英語が通じなかっただけかも。仕方なく「I'm a graphic designer.」へぇ、そうなの。という表情。話がどんどんドツボに嵌まりそうになってきたので気を取り直して「あ、そう!ギフトがあるの!」っと持参したものを手渡し、その場で開けてもらう。気に入ってくれたみたいでホッとする。 お終いに「ケルンもくるよね?」「もちろん!」「じゃ、ケルンでね。あのうちわは売れるよ、その時は僕に10%」廻りのドイツ人の男の子たちも笑っている。Yさんが今日の手紙を持っていたので、手を引っ張ってJEFFに渡すようにしたら、JEFFは嬉しそうに受け取っている。いつも貰っていて、楽しみにしているみたいだった。 楽屋から外に出るときにギターテクに呼び止められてクルー用じゃなくてギターヴァージョン団扇をリクエストされる。やはりギターが好きなのね。「君が作ったの?これ、凄いよ!」もう一人も欲しがって2ヴァージョンとも持って行った「ワーオ!」と言いながら走っていく(笑)。クルーが喜んでくれるのが一番嬉しかったな。16本作ったのがあと1本だけになった。 でも!メンバーもクルーも一回でわかることがなんで肝心のあの人が分からない〜〜〜!!? しかも、今も理解してないかも〜〜(泣) いや、私の英語がダメだった。しくしく。JEFFのせいじゃありませんとも。シクシク。
教訓その2 やっぱり、JEFFは鳥アタマ。そして、覚えてもらいたいようには覚えない。 追っかけするなら、最終的には英語力。分かってることだけどね。 JEFF BECK様ひょっとして、またあれを売り物と思ってませんよね?それだけが心配。Not for sale!made by atsu.って書いてるんですけど…気がついてちょ。とほほ…。

ケルンへつづく。

by atsu.


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